[math]2016年東京医科歯科大学数学問題1

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問題

自然数\(n\)に対して、\(n\)のすべての正の約数(\(1\)と\(n\)を含む)の和を\(S(n)\)とおく。たとえば、\(S(9) = 1 + 3 + 9 = 13\)である。このとき以下の各問いに答えよ。
\((1)\) \(n\)が異なる素数\(p\)と\(q\)によって\(n = p^2q\)と表されるとき、\(S(n) = 2n\)を満たす\(n\)をすべて求めよ。
\((2)\) \(a\)を自然数とする、\(n = 2^a-1\)が\(S(n) = n+1\)を満たすとき、\(a\)は素数であることを示せ。
\((3)\) \(a\)を\(2\)以上の自然数とする。\(n = 2^{a-1}(2^a-1)\)が\(S(n)\leq 2n\)を満たすとき、\(n\)の\(1\)の位は\(6\)か\(8\)であることを示せ。

方針

一般に整数\(x, y\)に対して\(x, y\)が互いに素であれば\(S(xy) = S(x)S(y)\)が成り立つ。\((1), (3)\)でこのことを用いる。

\((2)\) 背理法を用いると良い。

\((3)\) \((2)\)が利用できる。

解答

\((1)\) \(n = p^2q\)のとき、\(S(n) = (1+p+p^2)(1+q) = 1+q+p+pq+p^2+p^2q\)である。これが\(2n = 2p^2q\)と等しいとき、$$\begin{eqnarray}1+q+p+pq+p^2 & = & p^2q\end{eqnarray}$$となる。\(q\)についてまとめると、$$\begin{eqnarray}q & = & \frac{p^2+p+1}{p^2-p-1}\\ & = & 1 + \frac{2(p+1)}{p^2-p-1} \tag{a}\label{a}\end{eqnarray}$$である。\(q\)は整数であるから、$$\frac{2(p+1)}{p^2-p-1}\geq 1$$が必要で、整理すると$$\begin{eqnarray}2(p+1) & \geq & p^2-p-1 \\ p^2-3p-3 & \leq & 0\\ p(p-3) & \leq & 3\end{eqnarray}$$となる。これを満たすのは\(p = 2, 3\)のみであるが、\eqref{a}に代入すると、\(p = 2\)のとき\(q = 7\)で、\(p = 3\)のとき\(\displaystyle q = \frac{13}{5}\)となり後者は不適である。以上から、題意を満たすのは\(n = 2^2\cdot 7 = \underline{28}\)である。

\((2)\) \(S(n) = n+1\)を満たすとき、\(n\)の約数は\(1, n\)のみである。つまり\(n\)は素数である。\(n = 2^a-1\)が\(a\)が合成数のときに素数とならないことを示せば良い。\(a\)が合成数であることを仮定する。すなわち、\(a = bc\)を満たす\(1\)以上の整数\(b, c\)が存在する。このとき、$$\begin{eqnarray}2^{a}-1 & = & 2^{bc}-1 \\ & = & t^c-1\end{eqnarray}$$である。ただし、\(2^b = t\)とした。\(b\)が\(1\)より大きいので、\(t > 2\)となる。続けると、$$\begin{eqnarray}t^c-1 & = & (t-1)(t^{c-1}+t^{c-2} + \cdots + t + 1)\end{eqnarray}$$と因数分解できるが、\(t-1\)は\(1\)よりも大きく、また\(t^{c-1}+t^{c-2} + \cdots + t + 1\)も\(1\)より大きいから、\(t^c-1\)は合成数である。よって題意が示された。

\((3)\) \(2^{a-1}\)と\(2^{a}-1\)は互いに素であるから、$$\begin{eqnarray}S(n) & = & S(2^{a-1}(2^{a}-1)) \\ & = & S(2^{a-1})S(2^a-1)\end{eqnarray}$$となるが、$$\begin{eqnarray}S(2^{a-1}) & = & 1+2+2^2 + \cdots + 2^{a-1} \\ & = & 2^a-1\end{eqnarray}$$であるから、\(S(n)\leq 2n\)に代入すると、$$\begin{eqnarray}(2^a-1)S(2^a-1) & \leq & 2\cdot 2^{a-1}(2^a-1)\\ \iff S(2^a-1) & \leq & 2^a \tag{b}\label{b}\end{eqnarray}$$である。\(2^{a}-1\)が素数でないとき、$$\begin{eqnarray}S(2^a-1) & \geq & 1+(2^a-1) + \cdots \\ & > & 2^a\end{eqnarray}$$であるから、\eqref{b}が成り立つためには\(2^{a}-1\)が素数であることが必要である。すると、\((2)\)から\(a\)は素数となる。

\(a = 2\)のときは、\(n = 2^{a-1}(2^a-1) = 6\)であり、\(S(n) = 1 + 2 + 3 + 6 = 12\)となり、\(S(n)\leq 2n\)が成り立つが、このとき\(n\)の\(1\)の位は\(6\)であった。\(a > 2\)とすると、\(a\)は素数だから奇数である。\(a\)が奇数のとき\(n = 2^{a-1}(2^a-1)\)の\(1\)の位が\(6\)か\(8\)であることを示せば良い。\(a = 3, 5, \cdots\)のとき、$$\begin{eqnarray}2^{a-1} & \equiv & 4, 6, 4, 6, \cdots \pmod{10}\\ 2^{a}-1 & \equiv & 7, 1, 7, 1, \cdots \pmod{10}\end{eqnarray}$$となるから、$$\begin{eqnarray}2^{a-1}(2^a-1) & \equiv & 8, 6, 8, 6, \cdots \pmod{10}\end{eqnarray}$$となり\(n\)の\(1\)の位は\(6\)か\(8\)となる。

解説

約数の和、完全数を題材にした問題である。

オイラーのφ関数 - Wikipedia

\((1)\) の答えは\(p^2q\)という形で表される唯一の完全数である。

\((2)\) は整数\(n\)に対して、$$\begin{eqnarray}x^n-y^n & = & (x-y)(x^{n-1}+x^{n-2}y + \cdots + xy^{n-2} + y^{n-1})\end{eqnarray}$$と因数分解できることを用いている。難関大学では時々この因数分解が鍵になる問題が出題されるので、抑えておくと良い。

\((3)\) は\(a\)が素数ではなくても奇数であるときに題意が示せば良い(\(2\)以上の素数は奇数なので)。\(a = 2\)のときだけは別に考える必要がある。

関連問題

1991年東京医科歯科大学前期数学問題1 整数と因数分解、素因数
2007年東京医科歯科大学前期数学問題3 行列と二次曲線、整数解、連立方程式
2016年京都大学理系数学問題2 整数問題、素数

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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