[math]2017年東京医科歯科大学数学問題1

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問題

\(n\)を自然数とする。\(1\)から\(3n+1\)までの自然数を並びかえて、順に\(a_1, a_2, \cdots, a_{n+1}, b_1, b_2, \cdots, b_{n}, c_1, c_2, \cdots, c_n\)とおく。また、次の条件\((C1), (C2)\)が成立しているとする。
\(\ \ (C1)\) \(3n\)個の組\(|a_1-a_2|, |a_2-a_3|, \cdots, |a_n-a_{n+1}|, |a_1-b_1|, |a_2-b_2|, \cdots,\) \(|a_n-b_n|, |a_1-c_1|, |a_2-c_2|, \cdots , |a_n-c_n|\)は、すべて互いに異なる。
\(\ \ (C2)\) \(1\)以上\(n\)以下のすべての自然数\(k\)に対し、\(|a_k-b_k| > |a_k-c_k| > |a_k-a_{k+1}|\)が成り立つ。
このとき以下の各問いに答えよ。
\((1)\) \(n=1\)かつ\(a_1 = 1\)のとき、\(a_2, b_1, c_1\)を求めよ。
\((2)\) \(n = 2\)かつ\(a_1 = 7\)のとき、\(a_2, a_3, b_1, b_2, c_1, c_2\)を求めよ。
\((3)\) \(n\geq 2\)かつ\(a_1 = 1\)のとき、\(a_3\)を求めよ。
\((4)\) \(n = 2017\)かつ\(a_1 = 1\)のとき、\(a_{29}, b_{29}, c_{29}\)を求めよ。

方針

まずは誘導に従い実験してみる。

解答

\((1)\) \(n=1\)のとき\(3n+1 = 4\)で、条件\((C2)\)から\(|a_1-b_1| > |a_1-c_1| > |a_1-a_2|\)であるから、\(\underline{a_2 = 2, b_1 = 4, c_1 = 3}\)となる。このとき、\(|a_1-a_2| = 1, |a_1-b_1| = 3, |a_1-c_1| = 2\)となり条件\((C1)\)も満たされる。

\((2)\) 条件\((C2)\)から\(|a_1-b_1| > |a_1-c_1| > |a_1-a_2|\)であり、\(a_1 = 7\)であるから、\(a_1-b_1 > a_1-c_1 > a_1-a_2\)であり、\(b_1 < c_1 < a_2\)である。これより\(b_1 \leq 4\)かつ\(a_2\geq 3\)が必要である。\(|a_1-a_2|, |a_2-a_3|\)は異なるので、\(a_2, a_3\)の取りうる組み合わせは以下の様になる。

\(1\)\(2\)\(3\)\(4\)\(5\)\(6\)\(7\)
\(a_2\)\(a_3\)\(a_1\)
\(a_2\)\(a_3\)\(a_1\)
\(a_2\)\(a_3\)\(a_1\)
\(a_3\)\(a_2\)\(a_1\)
\(a_3\)\(a_2\)\(a_1\)
\(a_2\)\(a_3\)\(a_1\)
\(a_2\)\(a_3\)\(a_1\)
\(a_3\)\(a_2\)\(a_1\)
\(a_3\)\(a_2\)\(a_1\)
\(a_3\)\(a_2\)\(a_1\)
\(a_3\)\(a_2\)\(a_1\)
\(a_3\)\(a_2\)\(a_1\)
\(a_3\)\(a_2\)\(a_1\)
\(a_3\)\(a_2\)\(a_1\)
まず\(a_1, a_2, a_3\)を決める。

また、条件\((C2)\)から\(|a_2-b_2| > |a_2-c_2| > |a_2-a_3|\)であるから、一番上の組み合わせ以外は不適であることがわかる。このようにしておいて、再度\(|a_2-b_2| > |a_2-c_2| > |a_2-a_3|\)であることから、\(b_2, c_2\)も決められる。

\(1\)\(2\)\(3\)\(4\)\(5\)\(6\)\(7\)
\(b_1\)\(c_1\)\(a_2\)\(a_3\)\(a_2\)\(b_2\)\(a_1\)
\(b_2, c_3\)も決められる。

以上から、\(\underline{a_2 = 3, a_3 = 4, b_1 = 1, b_2 = 6, c_1 = 2, c_2 = 5}\)となる。

\((3)\) \(n = 3\)の時を例に考える。条件\((C1)\)から\(|a_1-a_2|, |a_2-a_3|, \cdots, |a_n-a_{n}|, |a_1-b_1|, |a_2-b_2|, \cdots, |a_n-b_n|, |a_1-c_1|, |a_2-c_2|, \cdots, |a_n-c_n|\)はすべて異なるので、\(1, 2, \cdots, 3n\)のどれかになる。条件\((C2)\)から\(|a_1-b_1| > |a_1-c_1| > |a_1-a_2|\)であり、\(a_1 = 1\)であるから\(2\leq a_2 < c_2 < b_2\)である。\(b_1 \neq 10\)とすると、\(|a_1-b_1| = |b_1-1| < 9\)となり、\(3n\)個の組の中で\(9\)となる組がなくなる。したがって\(b_1 = 10\)で、同様に考えて\(c_1 = 9, a_2 = 8\)が決定する。

\(1\)\(2\)\(3\)\(4\)\(5\)\(6\)\(7\)\(8\)\(9\)\(10\)
\(a_1\)\(a_2\)\(c_1\)\(b_1\)
\(n = 3\)の時の例。

\(a_2 = 8\)が決まると、対称性を利用して、同様に\(b_2 = 2, c_2 = 3, a_3 = 4\)と決まっていく。

一般の\(n\)でも同様に考え、\(\underline{a_3 = 4}\)と決定する。

\((4)\) \(n = 2017\)のとき\(3n + 1 = 6052\)である。\((3)\)と同様に考え、\(a_1 = 1, a_3 = 4 = 1+3, a_5 = 7 = 1+3 + 3, \cdots, a_{kn-1} = 1+3(k-1)\)となる。したがって\(\underline{a_{29} = 43}\)である。また、\(a_2 = 6052-2 = 6050\ (c_1 = 6051, b_1 = 6052), a_4 = 6052-2-3, \cdots, a_{2k} = 6052-2-3(k-1)\)となる。したがって\(a_{30} = 6008\)となり、\(\underline{b_{29} = 6010, c_{29} = 6009}\)となる。

解説

\(a_1, a_2, \cdots, a_{n+1}\)と順番に考えていくのがわかりやすい。条件\((C1)\)から\(3n\)個の組はすべて異なるので、\(a_1\)が決まると\(b_1, c_1, a_2\)も決まってしまう。つまり、\(1\)から\(3n+1\)個の整数の差で組み合わせを決めるので、\(a_1 = 1\)ならば\(|a_1-b_1| = 3n\)としないと、\(3n\)が作られなくなってしまう。このことに気が付かないと非常に難しく感じてしまう。

\((2)\) であるが、\(a_1\)が決まっていて、\(a_2\)と\(a_3\)をリストアップしていく。ここから\(b, c\)について考えるが、\(a_1\)と\(a_2\)の距離よりも\(a_1\)と\(c_1\)および\(a_1\)と\(b_1\)の距離は離れていなくてはならない。また、\(a_2\)と\(a_3\)の距離よりも\(a_2\)と\(c_2\)および\(a_2\)と\(b_2\)の距離は離れていなくてはならない。これを考慮して表をみると、可能な組み合わせは一通りしかないことがわかる。

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関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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