[math][東京医科歯科大学][微分]2018年東京医科歯科大学数学問題3

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問題

関数\(f(x) = x-\log{(1+x)}\)について、以下の各問いに答えよ。ここで\(\log\)は自然対数を表す。また\(\displaystyle \lim_{x\to \infty}{\frac{\log{x}}{x}\to 0}\)を用いて良い。
\((1)\) \(p\)を実数とするとき、\(f(x) = p\)を満たす実数\(x\)の個数を求めよ。
以下、\(f(x)\)の定義域を\(x\geq 0\)に制限した関数の逆関数を\(g(x)\)とする。
\((2)\) \(u\)を正の実数とする。\(p\geq 0\)のとき、$$p\leq g(p)\leq \frac{u+1}{u}(p-u+\log{(u+1)})+u$$を示せ。
\((3)\) \(p\)を正の実数とし、\(xy\)平面において、曲線\(y = g(x)\)と直線\(x = p\)の交点を通り、直線\(y = x\)に平行な直線を\(l\)とする。また、\(l\)と\(x\)軸および曲線\(y = g(x)\)によって囲まれた図形の面積を\(S\)とする。このとき、\(S\)を\(p\)を用いて表わせ。

方針

\((2)\) 式の意味を考える。

\((3)\) \(g(x)\)の積分は難しいので、対称性を考慮して\(y = f(x)\)を相手にしたほうが良い。

解答

\((1)\) \(x\to -1+0\)のとき、\(f(x)\to \infty\)である。以後\(1 + x > 0\)として考える。\(\displaystyle f^{\prime}(x) = 1-\frac{1}{1+x} = \frac{x}{1+x}\)である。したがって、\(x < 0\)のとき\(f(x)\)は単調減少で、\(x > 0\)のときは\(f(x)\)は単調増加となる。また、\(\displaystyle f^{\prime\prime}(x) = \frac{1}{(1+x)^2 > 0}\)であるから、\(y = f(x)\)は下に凸となる。以上から、\(y = f(x)\)の概形は以下の様になる。

\(y = f(x)\)の概形図。

これから、\(f(x) = p\)を満たす実数\(x\)の個数は、$$\begin{cases}0\ \ (p < 0)\\ 1\ \ (p = 0)\\ 2\ \ (p > 0)\end{cases}$$となる。

\((2)\) \(x\geq 0\)で\(\log{(1+x)}\geq 0\)であるから、\(p-\log{(1+p)}\leq p\)である。したがって\(f(p)\leq p \)となり、\(f(x)\)が単調増加であることから\(p\leq f^{-1}(p)\)となる。よって、\(p\leq g(p)\)である。また、\(v = f(u)\)とすると、点\((u, v)\)と点\((v, u)\)は\(y = x\)に対して対称で、\(g(v) = u\)であり、$$\begin{eqnarray}g^{\prime}(v) & = & \frac{1}{f^{\prime}(u)}\\ & = & \frac{u+1}{u}\end{eqnarray}$$となる。すなわち、示すべき不等式の右側は$$g(p)\leq g^{\prime}(v)(p-v) + g(v)$$と書き直せる。\((1)\)から\(y = f(x)\)は下に凸であるから、\(y = g(x)\)は上に凸となる。すなわち、接線は\(y = g(x)\)の上にあるから、題意の不等式が成立する。

\((3)\) \(g(p) = q\)とする。\(S\)は\(y = f(x)\)上の点\((q, p)\)を通り、\(y = x\)に平行な直線(\(l^{\prime}\)とする)と\(y\)軸、および\(y = f(x)\)によって囲まれる部分の面積と等しい。

図の斜線部の部分の面積が\(S\)と等しい。

\(l^{\prime}: y = x-q+p\)であるから、$$\begin{eqnarray}S & = & \int_{0}^{q}{(f(x)-(x-q+p))dx}\\ & = & \int_{0}^{q}{(-\log(1+x)+(q-p))dx}\\ & = & \left[-(1+x)(\log{(1+x)}-1)\right]_{0}^{q}+q(q-p)\\ & = & -(1+q)(\log{(1+q)}-1)+(-1)+q(q-p)\end{eqnarray}$$となる。\(f(q) = q-\log{(1+q)} = p\)であるから、$$\begin{eqnarray}S & = & -(1+q)(q-p-1)-1+q(q-p)\\ & = & \underline{p}\end{eqnarray}$$となる。

解説

\((2)\) は\(p\)や\(u\)で微分してももちろん構わない。試験場では最も確実かもしれない。

関連問題

2000年京都大学理系後期数学問題6 置換積分法と面積、tanの逆関数
2012年東京医科歯科大学前期数学問題3 逆関数の積分とはさみうちの原理

関連リンク

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