[math][東京医科歯科大学][複素数]2001年東京医科歯科大学数学問題1

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問題

以下の各問いに答えよ。ただし\(\pi\)は円周率を表す。
\((1)\) 複素数\(z\)が\(1+z+z^2+z^3+z^4 = 0\)を満たすとき$$(1-z)(1-z^2)(1-z^3)(1-z^4)$$の値を求めよ。
\((2)\) 絶対値\(1\)、偏角\(2\theta\ (0\leq \theta< \pi)\)の複素数\(\omega\)に対して\(r = |1-\omega|\)とおくとき、\(\sin{\theta}\)を\(r\)を用いて表わせ。
\((3)\) \(\displaystyle \sin{\frac{\pi}{5}}\sin{\frac{2\pi}{5}}\sin{\frac{3\pi}{5}}\sin{\frac{4\pi}{5}}\)の値を求めよ。

方針

やったことがないと意外に難しいかもしれない。

\((1)\) 教科書の公式$$1+x+x^2+\cdots +x^{n-1} = \frac{1-x^n}{1-x}\ \ (x\ne 1)$$の出番である。これを用いると\(z^5 = 1\)がわかる。後はうまく\(z^5\)が現れるように計算の順番を工夫する。

解答

\((1)\) \(1+z+z^2+z^3+z^4 = 0\)と、明らかに\(z\ne 1\)であることから、$$\begin{eqnarray}1+z+z^2+z^3+z^4 & = & \frac{1-z^5}{1-z}\\ & = & 0\end{eqnarray}$$となる。したがって、\(z^5 = 1\)である。$$\begin{eqnarray}(1-z)(1-z^2)(1-z^3)(1-z^4) & = & (1-z)(1-z^5)\times (1-z^2)(1-z^3)\\ & = & (1-z^4-z+z^5)\times (1-z^3-z^2+z^5)\\ & = & (2-z-z^4)(2-z^2-z^3)\\ & = & 4-2z^2-2z^3-2z+z^3+z^4-2z^4+z^6+z^7\\ & = & 4-2(z+z^2+z^3+z^4) + (z+z^2+z^3+z^4)\\ & = & 4-2(-1) + (-1)\\ & = & \underline{5}\end{eqnarray}$$となる。

\((2)\) \(\omega = \cos{2\theta}+i\sin{2\theta}\)とすると、$$\begin{eqnarray}r & = & |1-\omega|\\ & = & |1-\cos{2\theta}-i\sin{2\theta}|\\ & = & \sqrt{(1-\cos{2\theta})^2+\sin^2{2\theta}}\\ & = & \sqrt{2-2\cos{2\theta}}\\ & = & \sqrt{4\sin^2{\theta}}\\ & = & 2\sin{\theta}\ \ (0\leq \theta< \pi)\end{eqnarray}$$となる。よって\(\displaystyle \underline{\sin{\theta} = \frac{r}{2}}\)となる。

\((3)\) \((2)\)の結果から、\(k = 1, 2, 3, 4\)として、$$\sin{\frac{k\pi}{5}} = \frac{1}{2}\left|1-\cos{\frac{2k\pi}{5}}-i\sin{\frac{2k\pi}{5}}\right|$$である。\(\displaystyle {\omega}_k = \cos{\frac{2k\pi}{5}} + i\sin{\frac{2k\pi}{5}}\)とすると、\({\omega}_k^5 = 1\)であるから、$$\begin{eqnarray}1+\omega_1+\omega_2+\omega_3+\omega_4 & = & 1+\omega_1 + {\omega_1}^2 + {\omega_1}^3 + {\omega_1}^4\\ & = & \frac{1-{\omega_1}^5}{1-\omega_1}\\ & = & 0\end{eqnarray}$$となる。したがって、\((1)\)の結果から、$$\begin{eqnarray}\sin{\frac{\pi}{5}}\sin{\frac{2\pi}{5}}\sin{\frac{3\pi}{5}}\sin{4\frac{\pi}{5}} & = & \frac{1}{2^4}|(1-\omega_1)(1-\omega_2)(1-\omega_3)(1-\omega_4)|\\ & = & \underline{\frac{5}{16}}\end{eqnarray}$$となる。

解説

\((1)\) 一般的に\(1+z+\cdots + z^{n-1} = 0\)を満たす複素数\(z\)に対して$$(1-z)(1-z^2)\cdots (1-z^{n-1})$$の値がどうなるかを考えてみると練習になるだろう。

\((2)\) ここは誘導に従う。

\((3)\) \((1), (2)\)の結果を慎重に当てはめる。この問題は有名問題で、数十年間類題が出題され続けている。が、経験がないと初めてではなかなか難しく感じることだろう。

関連問題

1970年東京大学理系数学問題1 複素数と周期数列、複素数の基本的扱い
1992年東京大学前期文系数学問題1 解の公式、解と係数の関係、判別式、複素数
2003年東京医科歯科大学数学問題1 複素数平面と二次方程式、解と係数の関係

関連リンク

国立大学法人 東京医科歯科大学

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