問題
\((1)\) 次のように定義される数列\(\{a_n\}\)の一般項を求めよ。$$a_1 = \frac{1}{2}, a_2 = \frac{7}{4}$$ $$a_n = \frac{5}{2}a_{n-1}-a_{n-2}\ (n = 3, 4, 5, \cdots)$$
\((2)\) 次のように定義される数列\(\{b_n\}\)の一般項を求めよ。$$b_1 = 2, b_2 = \frac{5}{2}, a_2 = \frac{17}{4}$$ $$b_n = \frac{7}{2}b_{n-1}-\frac{7}{2}b_{n-2} + b_{n-3}\ (n = 4, 5, 6, \cdots)$$
方針
漸化式で定義された数列\(x_{n+2} = px_{n+1}+qx_{n}\)に対して、\(t\)についての二次方程式\(t^2 = pt+q\)の解を\(\alpha, \beta\)とする。ただし、\(\alpha \ne \beta\)と仮定する。この時、$$x_{n+2} -\alpha x_{n+1} = \beta(x_{n+1}-\alpha x_n)$$ $$x_{n+2}-\beta x_{n+1} = \alpha(x_{n+1}-\beta x_n)$$と変形する事ができる。これは数列\(\{x_n-\alpha x_{n-1}\}\)および\(\{x_n-\beta x_{n-1}\}\)についての等比数列なので、\(x_1, x_2\)がわかれば決定できる。適当な文字\(a, b\)を用いて、$$x_n = a {\alpha}^n + b{\beta}^n$$とすることが出来る。ちなみに、\(\alpha, \beta\)が複素数でもこの議論に関係はない。\(3\)項間漸化式でも同様の方程式があって、これを特性方程式という。\((2)\)では特性方程式を解いてもよいが、階差数列を作ると\((1)\)に帰着される。
解答
\((1)\) \(t^2 = \frac{5}{2}t-1\)を解くと、\(t = \frac{1}{2}, 2\)になる。\(a_n = \frac{5}{2}a_{n-1}-a_{n-2}\)を変形すると、$$a_n-\frac{1}{2}a_{n-1} = 2\left(a_{n-1}-\frac{1}{2}a_{n-2}\right)$$ $$a_n-2a_{n-1} = \frac{1}{2}(a_{n-1}-2a_{n-2})$$となる。上の式から$$a_{n}-\frac{1}{2}a_{n-1} = 2^{n-2}\left(a_2-\frac{1}{2}a_1\right) = 3\cdot 2^{n-3} \ \ \ (a)$$となり、下の式から$$a_n-2a_{n-1} = {\left(\frac{1}{2}\right)}^{n-2}(a_2-2a_1) = 3\cdot{\left(\frac{1}{2}\right)}^{n}\ \ \ (b)$$となる。\((a)\times 4- (b)\)を作り、\(a_{n-1}\)を消去すると、
\(a_n = 2^{n-1}-{\left(\frac{1}{2}\right)}^n\ (n = 3, 4, 5, \cdots)\)
を得るが、これは\(n = 1, 2\)のときも成立する。
\((2)\) \(b_n = \frac{7}{2}b_{n-1}-\frac{7}{2}b_{n-2}+b_{n-3}\)を変形すると、$$b_{n}-b_{n-1} = \frac{5}{2}(b_{n-1}-b_{n-2}) – (b_{n-2}-b_{n-3})$$となる。これと、$$b_3-b_2 = \frac{7}{4} = a_2, b_2-b_1 = \frac{1}{2} = a_1$$より、\(b_{n+1}-b_n = a_n (n\geq 2)\)である。\((1)\)から\(a_n = 2^{n-1}-{\left(\frac{1}{2}\right)}^n\)であるから、$$b_n-b_1 = \sum_{k=1}^{n-1}{\left(2^{k-1}-\frac{1}{2^k}\right)}$$ $$ = 1 + 2 + \cdots + 2^{n-2}-\frac{1}{2}\left(1+\frac{1}{2}+\cdots + \frac{1}{2^{n-2}}\right)$$ $$ = 2^{n-1}-1 -\frac{1}{2}\frac{1-\frac{1}{2^{n-1}}}{1-\frac{1}{2}}$$ $$ = 2^{n-1} + \frac{1}{2^{n-1}}-2$$となる。よって、
\(b_n = 2^{n-1}+\frac{1}{2^{n-1}} (n = 2, 3, \cdots)\)
となり、これは\(n = 1\)のときも成り立つ。
解説
特性方程式から、\(a_n = a\cdot 2^{n-1} + b\cdot {\left(\frac{1}{2}\right)}^{n-1}\)と表されることを利用して、\(a_1, a_2\)の値から\(a,b\)を求めて数列を決定しても良い。ミソは指数を\(n\)でなく\(n-1\)としたところで、これによって計算が簡単になり、ミスが防げる。\((2)\)でも特性方程式を解いて\(b_n\)を求めても良い。
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