[math]1988年東京工業大学数学問題5

問題

\(\displaystyle \lim_{n\to \infty}{\left(\frac{_{3n}\mathbb{C}_{n}}{_{2n}\mathbb{C}_{n}}\right)^{\frac{1}{n}}}\)を求めよ。

方針

\(\log\)を取って\(\cdots\)

解答

$$\begin{eqnarray}\log{\frac{_{3n}\mathbb{C}_{n}}{_{2n}\mathbb{C}_{n}}} & = & \frac{1}{n}\cdot \log{\frac{_{3n}\mathbb{C}_{n}}{_{2n}\mathbb{C}_{n}}} \\ & = & \frac{1}{n}\cdot \log{\left(\frac{(3n)!}{n!(2n)!}\cdot \frac{n!n!}{(2n)!}\right)} \\ & = & \frac{1}{n} \cdot \log{\left(\frac{(3n)!}{(2n)!}\cdot \frac{n!}{(2n)!}\right)} \\ & = & \frac{1}{n}\cdot \log{\left(\frac{3n\cdot (3n-1)\cdots (2n+1)}{2n\cdot (2n-1)\cdots (n+1)}\right)} \\ & = & \frac{1}{n}\left(\sum_{k=1}^{n}{\log{(2n+k)}}-\sum_{k=1}^{n}\log{(n+k)}\right) \\ & = & \frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n}{\log{\left(\frac{2n+k}{n+k}\right)}} \\ & = & \frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n}{\log{\left(\frac{2+\frac{k}{n}}{1+\frac{k}{n}}\right)}} \\ & = & \frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n}{\log{\left(2+\frac{k}{n}\right)}}-\frac{1}{n}\sum_{k=1}^{n}{\log{\left(1+\frac{k}{n}\right)}} \\ & \to & \int_{0}^{1}{\log{(2+x)}dx} -\int_{0}^{1}{\log{(1+x)}dx}\ (n\to \infty)\\ & = & [(2+x)(\log{(2+x)-1})]_{0}^{1}-[(1+x)(\log{(1+x)}-1)]_{0}^{1} \\ & = & 3(\log{3}-1)-2(\log{2}-1)-2(\log{2}-1)+1(0-1)\\ & = & 3\log{3}-4\log{2} \\ & = & \log{\frac{3^3}{2^4}} \\ & = & \log{\frac{27}{16}}\end{eqnarray}$$であるから、求める極限は\(\displaystyle \underline{\frac{27}{16}}\)となる。

解説

\(\log\)をとることがピンときた人も多かったことだろう。計算を丁重に行うのが大切で、解答では詳しく計算を記載した。実は、1968年の東京工業大学で次の問題が出題されている。

\(\displaystyle \lim_{n\to\infty}{\frac{1}{n}\sqrt[n]{_{2n}\mathbb{P}_{n}}}\)を求めよ。

この答えは\(\displaystyle \frac{4}{e}\)となる。これも上の問題と同様に、\(log\)を取れば計算だけであるので、チャレンジしてみると良い。東工大に限らず、多くの難関大学では過去問をアレンジしたり、似たような題材のものを出題することが多くある。何十年分も解く必要はないが、赤本などで過去\(5\)年分程度は解いておくことが必須であると言えよう。東京工業大学では過去問とまったく同じ問題が出題されたこともあるので、過去問研究はいっそう重要である。

関連問題

1990年東京大学理系前期数学問題1 はさみうちの原理

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