問題
平面上に\(6\)つの定点\(A_1, A_2, A_3, A_4, A_5, A_6\)があって、どの\(3\)点も一直線上にはない。この\(6\)点のうちから\(3\)点を任意に選ぶ。選んだ\(3\)点を頂点とする三角形の重心と、残りの\(3\)点を頂点とする三角形の重心とを通る直線は、\(3\)点の選び方に無関係な一定の点を通ることを示せ。
方針
いかにも京大らしい問題である。題意が成り立つような点を一つ見つければ良い。
解答
\(A_1, \cdots, A_6\)を任意に並び替えたものを\(B_1, B_2, B_3, B_4, B_5, B_6\)とする。この\(6\)点はどの\(3\)点も一直線上にないのだから、任意の\(3\)点を選ぶと、その\(3\)点は三角形を作る。任意に選んだ\(3\)点が\(B_1, B_2, B_3\)だったとすると、残りの\(3\)点は\(B_4, B_5, B_6\)で、各々の三角形の重心は$$\frac{\overrightarrow{OB_1} + \overrightarrow{OB_2} + \overrightarrow{OB_3}}{3}, \frac{\overrightarrow{OB_4} + \overrightarrow{OB_5} + \overrightarrow{OB_6}}{3}$$である。ただし点\(O\)はこの\(6\)点以外の任意の点とする。さて、上の二つの重心を通る直線は一般に$$(1-x)\frac{\overrightarrow{OB_1} + \overrightarrow{OB_2} + \overrightarrow{OB_3}}{3} + x\frac{\overrightarrow{OB_4} + \overrightarrow{OB_5} + \overrightarrow{OB_6}}{3}$$と表される。\(\displaystyle x = \frac{1}{2}\)に対応する点を\(P\)とすると、$$\overrightarrow{OP} = \frac{\overrightarrow{OB_1} + \overrightarrow{OB_2} + \overrightarrow{OB_3} + \overrightarrow{OB_4} + \overrightarrow{OB_5} + \overrightarrow{OB_6}}{6}$$で、各ベクトルの係数がすべて等しいので、この点は\(B_1, B_2, B_3\)のとり方に依らない。すなわち、どのように\(3\)点をとって三角形を作り、残りの\(3\)点で三角形を作り、各々の三角形の重心を通る直線を考えても、この直線は上の点\(P\)を通る。よって題意が成り立つ。
解説
下手に一次独立などという言葉を持ち出すと、大幅に減点されかねない。一次独立が成り立つのは平面上では\(2\)つのベクトルが平行ではないときである。あからさまに係数を比較もできない。題意のような点がひとつ見つかれば話は終わりなので、各ベクトルの係数を眺め勘を働かせ、適当な\(x\)の値を見つければ良い。
関連問題
ほとんど同じなので解答は示さないが、以下の問題も参考にすると良い。同じ年の理系問題5である。
中心が\(O\)である定円の周上に相異なる\(6\)つの定点\(A_1, A_2, A_3, A_4, A_5, A_6\)がある。このとき
\((1)\) \(\overrightarrow{OA_1} +\overrightarrow{OA_2} + \overrightarrow{OA_3} = \overrightarrow{OH}\)となるように点\(H\)をとれば、点\(H\)は三角形\(A_1A_2A_3\)の垂心であることを示せ。
\((2)\) \(6\)点\(A_k\ (k = 1, 2, 3, 4, 5, 6)\)のうちから\(3\)点を任意に選ぶ。えらんだ\(3\)点を頂点とする三角形の垂心と、残りの\(3\)点を頂点とする三角形の重心とを通る直線は、\(3\)点の選び方に無関係な一定の点を通ることを示せ。
注\(\ \ \ \ \)三角形の各頂点からその対辺にひいた\(3\)つの垂線は一点で交わる。この交点をその三角形の垂心という。
1970年京都大学理系数学問題3 空間とベクトル
1972年京都大学数学問題文理共通理系問題1文系問題1 ベクトルと論証
1972年京都大学数学文理共通問題文系問題3理系問題4 ベクトルと論証、平行四辺形
1973年京都大学理系数学問題3 ベクトルと一次独立、正三角形
1975年京都大学理系数学問題4 定円と三角形、ベクトル
1976年京都大学文理共通問題文系問題2理系問題2 平面上のベクトルと整数
1978年京都大学数学文理共通問題文系問題2理系問題2 ベクトルと数と式、相加平均、相乗平均
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