問題
以下の各問に答えよ。
\((1)\) 底面の半径が\(r\)、高さが\(h\)の直円錐の側面積を\(r\)と\(h\)を用いて表わせ。
\((2)\) 座標平面上の\(4\)点\(\displaystyle A\left(\frac{\sqrt{3}}{3}, 1\right), B\left(\frac{\sqrt{3}}{2}, \frac{3}{2}\right), E\left(0, \frac{3}{2}\right), F(0, 1)\)を考える。四角形\(ABEF\)を\(y\)軸のまわりに\(1\)回転してできる回転体の表面積を求めよ。
\((3)\) 座標平面上の曲線\(C: x^2+y^2 = 3\ \ (0<x<\sqrt{2}, 1<y<\sqrt{3})\)の上の点\(Q\)を考える。点\(Q\)と同じ\(y\)座標を持つ\(y\)軸上の点を\(H\)とし、原点\(O\)と点\(Q\)を結ぶ線分\(OQ\)が直線\(y = 1\)と交わる点を\(P\)とする。さらに点\(F(0, 1)\)をとる。四角形\(PQHF\)を\(y\)軸の周りに\(1\)回転してできる回転体の面のうち、線分\(PQ\)が\(1\)回転してできる面の表面積を\(S\)とする。点\(Q\)が曲線\(C\)上を動くとき\(S\)の最大値を求めよ。
方針
立体図形の問題である。\((1)\)では底面を入れないように気をつける。
解答
\((1)\) 下図から、求める側面積は\(\displaystyle 2\pi r\sqrt{r^2+h^2} \times \frac{1}{2} = \underline{\pi r\sqrt{r^2+h^2}}\)となる。
\((2)\) 点\(A, B\)は直線\(y = \sqrt{3}x\)上にある。原点を\(O\)として、\(EB\)を\(y\)軸のまわりに\(1\)回転してできる円を底面とし、点\(O\)を頂点とする直円錐の側面積は\((1)\)から\(\displaystyle \pi \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}\sqrt{\frac{3}{4}+\frac{9}{4}} = \frac{3}{2}\pi\)である。同様に、\(AF\)を\(y\)軸の周りに\(1\)回転してできる円を底面とし、点\(O\)を頂点とする直円錐の側面積は\(\displaystyle \pi\cdot \frac{\sqrt{3}}{3}\sqrt{\frac{3}{9}+1} = \frac{2}{3}\pi\)である。最後に、\(EB\)を\(y\)軸のmわりに\(1\)回転してできる円の面積は\(\displaystyle \left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2 \pi = \frac{3}{4}\pi\)であり、\(AF\)を\(y\)軸のまわりに\(1\)回転してできる円の面積は\(\displaystyle \left(\frac{\sqrt{3}}{3}\right)^2 = \frac{1}{3}\pi\)である。求める表面積は\(\displaystyle \frac{3}{2}\pi-\frac{2}{3}\pi+\frac{3}{4}\pi+\frac{1}{3}\pi = \underline{\frac{23}{12}\pi}\)となる。
\((3)\) 点\(Q\)の座標を\((q, \sqrt{3-q^2})\ \ (0<q<\sqrt{3})\)とする。直線\(OQ\)は\(\displaystyle y = \frac{\sqrt{3-q^2}}{q}x\)と書けるので、点\(P\)の座標は\(\left(\frac{q}{\sqrt{3-q^2}}, 1\right)\)となる。\((2)\)と同様に考えて、$$\begin{eqnarray}S & = & \pi q\sqrt{q^2+(3-q)^2}-\pi \frac{q}{\sqrt{3-q^2}}\sqrt{\frac{q^2}{3-q^2}+1}\\ & = & \sqrt{3}q\pi-\frac{\sqrt{3}q\pi}{3-q^2}\\ & = & \frac{2q-q^3}{3-q^2}\sqrt{3}\pi\end{eqnarray}$$となる。\(\displaystyle f(q) = \frac{-q^3+2q}{3-q^2}\ \ (0<q<\sqrt{2})\)とすると、$$\begin{eqnarray}f^{\prime}(q) & = & \frac{(-3q^2+2)(3-q^2)-(-q^3+2q)(-2q)}{(3-q^2)^2}\\ & = & \frac{-9q-2+3q^4+6-2q^2-2q^4+4q^2}{(3-q^2)^2}\\ & = & \frac{q^4-7q^2+6}{(3-q^2)^2}\\ & = & \frac{(q^2-6)(q^2-1)}{(3-q^2)^2}\end{eqnarray}$$である。したがって、\(0 < q < \sqrt{2}\)から\(q = 1\)のときに\(f(q)\)は最大値をとり、\(\displaystyle f(1) = \frac{1}{2}\)であるから、\(S\)の最大値は\(\displaystyle f(1)\cdot \sqrt{3}\pi = \underline{\frac{\sqrt{3}}{2}\pi}\)となる。
解説
表面積は意外と珍しい題材かもしれない。
\((1)\) ここで間違うと\((2), (3)\)すべてを間違ってしまう。東京医科歯科大学の問題では\((1)\)は簡単な問題が出題されることが多いので、多少時間を掛けても慎重に取ったほうが良い。扇形の面積は展開図を考え、円弧の部分(図では\(2\pi r\))を底辺、\(\sqrt{r^2+h^2}\)を高さとする三角形と考えると覚えやすい。三角形の面積は底辺\(\times\)高さ\(\displaystyle \times \frac{1}{2}\)で、扇形の面積も\(\displaystyle 2\pi r\times \sqrt{r^2+h^2}\times \frac{1}{2}\)となっている。
\((2)\) \((1)\)を用いる。今度は側面積でなく表面積なので、上下の円の面積も答えに含める必要がある。
\((3)\) 点\(Q\)の座標は\(\sqrt{3}(\cos{\theta}, \sin{\theta})\)と置いても良い。解答のように置いても手間はそれほど変わらない。結局微分が必要になるが、大した計算ではない。\((1), (2)\)と違って\(PQ\)の動いた部分の面積だけを求める。
関連問題
1988東京医科歯科大学数学問題1 二次曲線と面積、微分
1991年前期東京医科歯科大学数学問題2 空間図形と方程式
1996年東京医科歯科大学数学問題3 領域と最小値、最大値、交わる曲線
2006年度前期東京医科歯科大学数学問題2 四面体、空間座標、体積
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